· 

神谷麻穂 個展

神谷麻穂 個展

2025年10月30日(木)~11日4日(火) 

11:00-17:00

※作家在廊日 11月2日(日)

福井県で初となる、陶芸家・神谷麻穂氏の個展を開催します。

自然や心象風景のイメージを、やわらかな色彩と独特のテクスチャーで表現。土の材質感や手ざわりを大切にし、

自然の造形美を作品に落とし込みます。

 

美しく個性的な世界をうつわにてお楽しみください。

 

アートなうつわ

艶やかで、それでいて自然に溶け込む大らかさがある。そよ風のような空気をまとう、色彩ゆたかな器たち。まるで珊瑚が広がる海のなかのような景色もあれば、春の野原を遠くから眺めているような郷愁も感じる。陶芸家・神谷麻穂さんの器には不思議な魅力があります。

やわらかな色彩、独自のテクスチャー

富山県で作陶する神谷麻穂さんの器は、やわらかな色彩と独特のテクスチャーを特徴としています。友禅のような上品な色合い、輝きをまとうパステルのまばゆさ。心象風景を描いた抽象画が描かれた絵皿には、実にさまざまな技法が使われています。

大学で工芸美術を学んだ後、産地で九谷焼の技術を身につけた麻穂さん。釉薬を重ね、ただ塗りつけるのではなく垂らしたり散りばめたり、その上に絵付けを重ねたり、金彩やパールを施したり。一枚ずつ異なる表情は見ていて飽きません。


轆轤(ろくろ)を引いて作った石膏型に、通常の湿った土のほか、そぼろ状の乾いた土を重ねる珍しい手法を用いることで、土ざわりを感じる質感に仕上げています。さらに刷毛で砂をかけたり、別の土を埋め込んで象嵌を施したり、時には削り出して形を整えたり。さまざまな技法を用いることでオリジナリティのある作品に仕上げています。

 

表現力が豊かで、凝縮された美が心のなかにグッと入りこんでくる。良質なアートを鑑賞した時のように、心を潤してくれる。神谷麻穂さんの作品は暮らしの道具でありながら、ぎりぎりのところまでアート要素を盛り込んでいて、その境界を歩く楽しさを味わえます。


ざらざらした土の感触やでこぼこした表面、真っ直ぐではないライン、繊細な絵付けや釉薬の風合い。複雑な要素が散りばめられ、器としては使い勝手がいいとは言えないかもしれません。けれど、心を潤す器は日常をゆたかに変えてくれます。アートは心の栄養。この器に美味しい料理を盛り付けて食卓に並べたら、心も体もどちらも一度で満たされてしまう。一石二鳥とはまさにこのこと。とても贅沢な心地になる器なのです。